動画マーケティングとは、その名の通り動画コンテンツを活用したマーケティング手法のことです。具体的には、YouTubeでの配信活動、Instagramのリール機能を使った商品・サービスの認知拡大・ブランディング向上などが動画マーケティングに該当します。昨今、動画配信プラットフォームを利用するユーザーが増えた影響により、動画マーケティングを活用する企業が増えてきました。もしかしたら、この記事を読んでいるマーケターやWeb担当者も、「動画マーケティングを始めてみたい!」と思われているのではないでしょうか。しかし、動画マーケティングは他のマーケティング手法と比較してもまだまだ新しく、「なぜ注目されているのか」「中小企業でどのように活用されているのか」といった点を理解している方も少ないと思います。ただ単に、市場が伸びているからという理由で動画マーケティングを始めても、失敗する確率の方が高いです。成功させるためには、動画マーケティングがもたらす効果やリスクを理解しておく必要があります。そこで本記事では、動画マーケティングを実施する具体的な目的やメリット・デメリットを成功事例を交えて解説します。これから動画マーケティングを活用したいと考えている方はぜひ最後までご覧ください。動画マーケティングはなぜ注目されているのか IT業から製造業まで、あらゆる企業が動画マーケティングを実施し始めています。 では一体、なぜここまで動画マーケティングは注目されているのでしょうか。 動画マーケティングの市場を分析して、注目されるようになった要因を3つにまとめました。 市場規模が右肩上がりで伸びている動画配信プラットフォームが一般的になった5Gの普及が進んでいる それぞれ詳しく解説します。要因1. 市場規模が右肩上がりで伸びている 動画マーケティング手法の1つである動画広告の市場は、年々右肩上がりで急成長しています。事実、株式会社サイバーエージェントと株式会社インファクトが実施した共同調査によると、2021年の動画広告市場は4,205億円になると見通しており、2022年には5,497億円、2025年には1兆456億円まで達成すると推測しています。インターネット広告の総広告費は2020年が2兆2,290億円なので、動画広告は全体の約3割以上を占めていると想定できます。インターネット広告といっても、ディスプレイやリスティングのように様々な広告形式に分類されます。その中で動画広告の割合は3割以上を占めてきているので、市場が急激に伸びていることがわかるのではないでしょうか。要因2. 動画配信プラットフォームが一般的になった このように動画広告の市場規模が右肩上がりで伸びているのは、動画配信プラットフォームが一般的になった影響が大きいと言えます。動画配信プラットフォームとは、インターネットを通じて動画を配信できるシステムのことです。例を挙げるなら、個人・企業問わず配信できる「YouTube」や「TikTok」はもちろんのこと、運営する企業しか配信できない「Amazon Prime Video」や「Abema TV」も動画配信プラットフォームに該当します。今やこのような動画配信プラットフォームは、ユーザーの日常生活で一般的な存在になっており、エンタメコンテンツの閲覧から欲しい商品のリサーチまであらゆる目的で利用されています。さらには、ただ動画コンテンツを閲覧するだけでなく、動画配信者として活動し収益を得る人も増えてきました。そんな動画配信プラットフォームの利用ユーザーは右肩上がりで伸びており、2020年9月時点で日本国内のYouTubeの月間アクティブユーザー数は6,500万人を超えているのです。単純計算で、日本国内の約半数が利用していることになります。引用元:月間 6,500 万ユーザーを超えた YouTube、2020 年の国内利用実態──テレビでの利用も 2 倍につまり、動画配信プラットフォームをマーケティングに活用すれば、それだけ多くのユーザーにアプローチできるということです。例えば、商品やサービスの動画広告を出稿し認知や顧客リストを獲得できたり、企業公式のアカウントを作成し、ターゲットにとって魅力的な動画を投稿すればファン獲得にもつなげられます。動画マーケティングが注目された背景には、ユーザーの日常生活で動画配信プラットフォームが当たり前の存在になったのが大きいでしょう。要因3. 5Gの普及が進んでいる 5Gとは「5th Generation」の略称で、移動通信システムの世代を意味します。4Gとは違い、5Gには次のような特徴があります。高速大容量・高解像度低タイムラグ多数同時接続上記の特徴によって、今よりもさらに動画マーケティングの市場は拡大していくと予測できます。例えば、5Gによって高速大容量通信の環境が整えば、動画広告や動画コンテンツのユーザーの離脱率低下につながります。それに伴い、動画の視聴時間が伸びれば、動画マーケティングの需要はさらに伸び続けるでしょう。また、高解像度が実現すれば、動画のクオリティを格段に上げることも可能です。つまり、企業が持つブランド力や価値を動画という形でより表現しやすくなるのです。動画マーケティングの目的 動画マーケティングの目的は、大きく5つに分けられます。 それぞれの目的によって、動画マーケティングの内容や戦略が変わってきます。例えば、商品のブランディング向上が目的であれば、テキストでは伝わりにくい商品の世界観や使っているイメージを動画で表現するのが効果的です。一方で、潜在顧客の育成が目的であるならば、ターゲットが「商品を欲しい!」と思うまでのストーリーを魅せるのが重要になってきます。上記のように、動画マーケティングを実施する明確な目的がないと、企業や商品のイメージを壊して逆効果になる可能性があります。そのため、「動画マーケティングを実施してどのような目的を達成したいのか」というポイントは、何よりも先に決めるべき項目です。まずは目的を決めてから、動画マーケティングを実施するようにしましょう。動画マーケティングのメリット3つ 動画マーケティングのメリットを3つまとめました。テキストよりも情報が伝わりやすい効果測定しやすい 継続して認知・集客できる可能性がある それぞれのメリットを詳しく解説します。メリット1. テキストよりも情報が伝わりやすい 動画はテキストや写真よりも、ユーザーに対して情報が伝わりやすいのが特徴です。なぜなら、「動き」や「音」を使って情報を表現できるからです。例えば、テキストや写真でスポーツ選手の活躍を表現しようとすると、「どのように選手が動いているのか」「会場の盛り上がりはどうなっているのか」といった情報はユーザーに伝わりにくいと言えるでしょう。一方、動画であればスポーツの選手の動きから会場の歓声までわかりやすく伝えられます。つまり、動画は視認で得られる情報量が多いのです。この動画マーケティングのメリットを活用すれば、今までテキストや写真で伝えにくかった情報でも上手く伝えることができるでしょう。メリット2. 効果測定しやすい 動画マーケティングの効果は、クリック率・視聴時間・離脱時間・再生回数など、他のコンテンツと比べて定量的に測定しやすいといえます。実際にYouTubeアナリティクスでは、以下の指標を分析できます。インプレッション数クリック率総再生時間視聴回数人気動画チャンネル登録者数リアルタイム統計ユニーク視聴者数性別・年齢地域アクセスしている時間帯例えば、動画コンテンツの再生回数やクリック率が悪いのであれば、「サムネイルに問題があるのでは?」「もしかしたらターゲットが間違っているのかもしれない」と仮説を立てることができます。また、多くのユーザーが離脱しているタイミングがわかれば、動画コンテンツの改善点の発見につなげられるでしょう。つまり、動画マーケティングはPDCAを回しやすいのです。記事コンテンツでもこのような効果測定はできますが、無料で使えるGoogle Analyticsだけでは測定できる項目には限界がありますし、ヒートマップやABテストのツールにもコストがかかるため、十分なメリットと言えます。メリット3. 継続して認知・集客できる可能性がある 動画マーケティングは、継続して認知・集客率を伸ばしていける可能性があります。例えば、YouTubeやTikTok、Instagramで動画コンテンツを上位表示できれば、人の手を加えなくても継続的に動画が再生されユーザーを集客できます。そして、動画コンテンツがユーザーにSNSでシェアされれば、ユーザーのフォロワーからそのフォロワーへと認知は広がり続けるでしょう。このような効果はマーケティング活動において、大きなメリットとなります。動画マーケティングのデメリット2つ 続いては、動画マーケティングのデメリットについて解説します。 制作コストが高い インハウス化が難しいデメリット1. 制作コストが高い 動画マーケティングの成功には、クオリティが高い動画の制作が必要不可欠です。しかし、クオリティの高い動画を制作しようとすると、企画や編集ができる優秀な人材を確保したり、撮影に使うスタジオや必要な機材を押さえなければいけません。これらを全て賄おうとすると、膨大な制作コストがかかります。動画マーケティングによって大きな効果は見込めますが、制作コストが高いのはデメリットとなるでしょう。デメリット2. インハウス化が難しい 前述したとおり、動画マーケティングの市場規模は順調に拡大しています。しかしながら、動画の制作や動画マーケティングに精通している人材はまだまだ少ないのが現状です。そのため、社内でインハウス化しようとしても人材の確保が難しく、どうしても動画制作会社が頼りになってしまいます。インハウス化できれば制作コストも抑えられますが、現状は難しいと言えるでしょう。動画マーケティングの成功事例3社 動画マーケティングの成功事例を3社紹介します。 ドルフィンジャパン パナソニック ソニーグループ それぞれ事例を詳しく解説します。ドルフィンジャパン 1つ目の成功事例は、ドルフィンジャパンが提供する世界最速のブラウザ「ドルフィンブラウザ」です。ドルフィンジャパンは、価値向上・利用機会促進を目的として、動画マーケティングを実施しました。テキストでは情報が伝わりにくい「サイトスピード」や「機能」を動画で説明することで、ユーザーに伝わりやすい内容になっています。パナソニック 2つ目の成功事例は、パナソニックの「青色LED」です。パナソニックは、ノーベル賞を受賞した青色LEDの認知拡大と価値向上を目的として、動画マーケティングを実施しました。パナソニックLEDが装飾されたスカイツリーの点灯式を生中継し、多くのユーザーの興味・関心を惹きつけることに成功しています。また後日、生中継の模様をダイジェスト版としてYouTubeに公開することで、継続的な認知・価値向上が生まれています。ソニーグループ 最後の成功事例は、ソニーグループの採用ムービーです。ソニーグループは、「ソニーの採用に対する考え方を知ってほしい」、そのような想いから動画マーケティングを実施しています。流行りの芸人をキャストとして採用し、面接の各ポイントや流れを解説した動画は1万回以上再生されており、多くの注目を集めていることがわかります。まとめ 最後にまとめます。本記事では、動画マーケティングが注目されている理由や実施するメリット・デメリットを成功事例を交えて解説しました。動画マーケティングを活用すれば、テキストで伝えにくい情報であっても、ユーザーにわかりやすい形で伝えることができます。そういったメリットもあり、「採用活動」や「商品販売」といった様々なビジネスシーンで、動画マーケティングを活用し始める企業は年々増えてきました。しかし、容易に動画マーケティングを始めても上手くいきません。成功させるには、目的の明確化、専門スキルを持つ人材の確保、スタジオや撮影機材の準備など、やることがたくさんあります。本記事で解説したように、まずは動画マーケティングを実施する目的を明確化するところから始めてみましょう。最後にピクルスでは、インタラクティブ動画やWeb動画の制作サービスを提供しています。商品・サービスへの導線設計からデータ分析、改善まで一貫して行っており、今まで多くの企業様の動画マーケティング支援をさせていただきました。これまでの事例はコチラのページでまとめておりますので、ぜひご覧ください。 「成果を生み出せる動画を作りたい」「自社のブランドをイメージさせるような動画が欲しい」このような要望がある方は、お気軽にご相談いただけますと幸いです。