OMO(Online Merges with Offline)とは、オンラインとオフラインを融合させるマーケティング手法のことです。OMO戦略を立案・実行することで、サービスの向上や改善ができ、顧客満足度を高められる可能性があります。しかし「どのような対策があるの?」「どのように戦略を立てればいいかわからない」という方もいるでしょう。本記事ではBtoBのコンテンツマーケティングに4年携わった経験のある筆者が、OMO戦略について紹介します。具体的な活用方法や成功させるためのポイントなどを解説するので、ぜひ参考にしてみてください。※当コンテンツは、顧客体験向上に強みを持つ診断作成ツール「ヨミトル」を提供するピクルスが監修しています。OMO戦略とは OMO戦略は「Online Merges with Offline」の略で、オンラインとオフラインを融合させるマーケティング戦略のことです。たとえば、以下のような取り組みがOMOに該当します。・ECサイトと実店舗の顧客情報を一元化して、お客様の行動データを分析する・スマホから注文して実店舗で受け取れるサービス(BOPIS)を導入する・実店舗にチャットボットを導入するOMO戦略を立案して実行することで顧客体験が向上し、商品・サービスの売上獲得やアイデアの創出につながります。OMO戦略の重要性 顧客の購買行動がオフラインからオンラインに移行していることから、OMO戦略の重要性が高まっています。たとえば、最近ではSNSで口コミを確認して購買するかどうかを判断するのが一般的になっています。購入方法もECサイトを使うのが当たり前になってきており、とくに実店舗のみで販売している企業は、オフラインでの施策だけでは難しくなっているのです。実際に多くの企業がOMOの重要性を感じています。株式会社東通メディアが通販・EC事業者に向けてOMO施策について調査したところ、約8割の企業がOMOの重要性が高まっていると予想していることがわかりました。また、半数以上の企業がOMO施策に取り組んでいると回答しました。参考:【2024年度、約8割の通販・EC事業者が「OMO」に注目】注目しているOMO施策ランキング、第2位「モバイルアプリを通じた顧客サービスの向上」を抑え、第1位となったのは?すでに多くの企業が取り組んでおり、今後もOMO施策に注力する企業が増えると考えられます。OMOとO2O・オムニチャネルとの違い OMOと混同されやすい言葉として、以下の2つがあります。 O2O オムニチャネル それぞれの違いについて解説します。O2O O2Oは「Online to Offline」の略で、オンラインからオフラインへ誘導するマーケティング手法のことです。 たとえば、LINEでクーポンを配信して、お店に来てもらうような取り組みがO2Oに該当します。 O2Oはオンラインのマーケティング手法を活用して、オフラインでコンバージョンを獲得する点が特徴です。一方OMOはコンバージョンのポイントがオフラインだけではなく、オンラインにもあります。オムニチャネル オムニチャネルは複数の販売チャネルを統合して展開する販売戦略の手法です。 たとえば実店舗だけではなく、SNSやECサイトなどを活用して顧客と接点を持つようにします。 顧客情報の管理や在庫管理も一元化し、顧客が時間や場所を問わず情報収集や購入ができるように取り組みます。 良質な顧客体験を生み出すことを目的にしているOMOとは異なり、オムニチャネルは販売経路を多様化することが目的となっています。 例え話を使ってよりわかりやすく説明すると、以下のような感じです。 ▼おもちゃ屋さんの例オムニチャネル:お店でも、パソコンやスマホでもおもちゃが買えます。電話で質問できます。どの方法を使っても、同じようにおもちゃを買えたり、親切に対応してくれたりします。これがオムニチャネルです。例:・お店でおもちゃを見て、後でスマホから注文する・パソコンで在庫を確認して、お店に取りに行く・電話で聞いた情報を、お店に行ったときにも覚えていてくれるOMO:今度は、未来のおもちゃ屋さんを想像してください。ここでは、お店に行くとスマホのようなものがあって、おもちゃについてもっと詳しく教えてくれます。家でパソコンで見たおもちゃの情報が、お店に行ったときにも使えます。お店にいるのに、インターネットの便利さも一緒に使えるんです。例:・お店のおもちゃにスマホをかざすと、そのおもちゃで遊んでいる動画が見られる・家で好きだと思ったおもちゃを、お店で簡単に見つけられる特別な地図がある・お店で試したおもちゃの記録が、家に帰ってもスマホで見られる違い:・オムニチャネルは、どこからでも同じように買い物ができることが大切・OMOは、お店に行くときにインターネットの便利さも一緒に使えることが特徴OMO戦略のメリット OMO戦略を実行するメリットとして以下の3つがあります。顧客満足度を高められる機会損失を減らせる効率的に顧客情報を収集できる自社にとって必要なものかどうか把握するために、それぞれのメリットを確認してみましょう。顧客満足度を高められる 顧客体験の向上により満足度の高いサービスを展開できます。たとえば、店舗に来た際に自分の肌に合う化粧品がわからない顧客がいたとしましょう。 その際に、タブレットでチャット形式で質問できたり、診断コンテンツで肌にあった商品をレコメンドしてもらえたら、顧客は悩まずに購入しやすくなります。 利便性が高まることで、購買意欲の向上につながり、売上の獲得につながるでしょう。機会損失を減らせる 顧客が何かしらの理由で購入を断念するリスクを減らせる点もメリットです。 たとえば、実店舗で商品が品切れになってしまった場合、自社ECサイトで注文できることを伝えれば、購入してくれる可能性があります。 逆にECサイトで品切れになった場合、ホームページ上で各店舗の在庫を確認できるようにすることで、来店して購入してもらえる可能性が高くなるでしょう。 顧客の購入意欲が低下したり、ほかの店舗で購入したりするのを防げるため、OMO戦略が必要とされています。効率的に顧客情報を収集できる ECサイトと実店舗の顧客データを一元化することで、より正確に顧客ニーズを把握できます。 得られる顧客情報は、以下のとおりです。顧客の年齢 性別 住所 購入履歴 購入方法(実店舗かECサイトか) クーポン利用の有無 など 幅広いデータを入手することで、どのようにアプローチすればより顧客を獲得できるか仮説を立てやすくなり、精度の高いマーケティング施策を実施できるようになります。OMO戦略のデメリット OMO戦略のデメリットとして、以下の2つがあります。 初期コストや運用コストが発生する 長期的な施策になりやすい メリットとデメリットを把握したうえで、OMO戦略を実施するか決めましょう。初期コストや運用コストが発生する 顧客情報の一元化や分析などを行うにはツールが必要で、初期費用や運用コストがかかります。 自社にOMOに知見のある人材が不足している場合は、専門知識のある人材を確保する必要があり、採用コストや育成コストも発生するでしょう。 またOMOのマーケティング支援会社にコンサルティングを依頼した場合、よりコストが膨らむ可能性があります。OMOに取り組む前に、費用対効果をしっかりと考えて、実施すべきか検討することが大切です。長期的な施策になりやすい OMOはすぐに効果が出るものではなく、長期的に施策を続けることではじめて効果が得られます。 顧客情報を収集・分析し、施策の立案・実行を繰り返すことで、効果が見えてくるでしょう。 OMO戦略を実施する際は長期的なビジョンを持ち、予算や人材などリソースの確保をして計画的に進めることが重要です。OMO戦略の活用例 OMO戦略の活用例として、以下の4つを紹介します。 診断コンテンツの配信 チャットボットの導入 デジタルサイネージの活用 モバイル決済と店頭受け取りの導入 導入することで得られるメリットを把握できますので、ぜひチェックしてみてください。診断コンテンツの配信 診断コンテンツとは「〇〇診断」のようなユーザーが質問に回答し、答えた内容に応じた結果が表示されるコンテンツのことです。顧客が自分の悩みに関する診断コンテンツに参加することで、最適な解決方法を見つけられる機会を提供します。同時に解決につながる自社商品やサービスを紹介することで、認知を向上させ購入を促進させることが可能です。診断コンテンツは相手が能動的に参加することから、興味を高められやすく、ただ情報を提供するだけよりも印象に残りやすくなるのが特徴です。診断コンテンツで商品をレコメンドし、実店舗やECサイトで購入してもらうというOMO戦略を立てられます。ほかにも、診断コンテンツで「どの結果が多かったか」が数値でわかるようになるため、需要予測をして商品の陳列や在庫管理の最適化に活用できます。チャットボットの導入 チャットボットは蓄積されたQ&Aデータをもとに、ユーザーの質問に回答するシステムのことです。 たとえば、ECサイトや商品紹介ページなどの右下にある、チャット形式でユーザーが質問できる画面がチャットボットに該当します。 ▼Softbankが運用するチャットボット チャットボットは人の代わりに接客するのが主な役割です。ECサイトに導入することで24時間365日お問い合わせ対応ができるようになり、ユーザーに安心感を与えられるのがメリットです。 実店舗でもデジタルサイネージ内にチャットボットを搭載することで、情報を提供できるようになり、購買を促進できます。 チャットボットに診断コンテンツを用いれば、よりユーザーに合った商品の提案や顧客サポートを行え、顧客エンゲージメントを向上させられるでしょう。デジタルサイネージの活用 デジタルサイネージはディスプレイ状の情報発信システムのことで、主に実店舗で活用されます。ディスプレイに動画広告や静止画広告などを流すことで、商品・サービスのPRに活用でき、購入促進につなげることが可能です。 デジタルサイネージによる自動接客も可能で、お問い合わせ対応や商品のレコメンドが可能です。 たとえば、商品をレコメンドしているデジタルサイネージとして、JR東日本駅構内に導入された自販機があります。自販機の前に立つと液晶パネルが表示され、その人の特徴にあったおすすめの飲み物が紹介される仕組みです。 ▼デジタルサイネージが搭載された自動販売機 引用元:日経 xTECH サイネージで商品をレコメンドすることで、購入促進につながり、売上を向上できるでしょう。 また、タッチパネル型のデジタルサイネージを活用することで、診断コンテンツも取り入れられ、より顧客の購入意欲の高い商品をレコメンドできる可能性があります。モバイル決済と店頭受け取りの導入 モバイルアプリを利用して決済できるサービスを導入することも、OMO戦略のひとつの手法です。 商品の情報収集から決済までをワンストップで済ませられ、スムーズに購入できるのがメリットです。店頭受け取りサービスをすることで、配送コストの削減や店頭でのついで買いによる売上向上が見込めます。 診断コンテンツも活用することで、商品を探す手間を省け、効率的に購入できるようになるため、相乗効果が期待できます。OMO戦略を立てるポイント OMO戦略を立てる際は、以下の5つを意識しましょう。 現状を把握する 課題を見つける 顧客体験向上に向けたフローを設定する 解決策の詳細を決める ツールを導入する それぞれを実施して、OMO戦略を成功させましょう。現状を把握する はじめに現状の顧客体験を整理しましょう。顧客とのタッチポイントを時系列で確認し、どのように顧客が自社のことを知り、購入に至っているかを把握します。たとえば、以下のように現状を洗い出しましょう。顧客はどこで自社商品の情報を知っているの普段どのように情報収集しているのかどのように購入するのかどのように商品を利用しているのか実際にアンケートをとって調査することをおすすめします。課題を見つける 顧客体験を整理したら課題を洗い出しましょう。顧客のアンケート調査結果、他社サービスの比較などを行い、自社が競合に負けている部分を洗い出します。たとえば、以下のように課題を見つけます。競合よりも取り扱っている商品が多すぎるため、探すのに疲れてしまい、購入まで至らない在庫切れが多発しているため、顧客の機会損失が発生している店員数が少なく来客が増える時間帯に一人ひとりに対応できないこのように洗い出したら、優先順位を付けていき、緊急性の高い課題や重要度の高い課題から解決策を考えていきます。顧客体験向上に向けたフローを設定する より顧客体験を向上させるために、課題の解決方法を考えましょう。たとえば「競合よりも取り扱っている商品が多すぎるため、探すのに疲れてしまい、購入まで至らない」という場合は、以下のような流れを作ります。ECサイトでおすすめの商品一覧を掲載する診断コンテンツを設けて顧客にぴったりの商品を紹介する必要に応じて新しくタッチポイントを作ったり、データの収集をしたりしましょう。解決策の詳細を決める 顧客体験を実現するために細部まで対策を決めておきます。たとえば、ストレスなく購入できる仕組みづくりをするなら、ECサイトから購入するまでのページ遷移を減らしたり、顧客が知りたい商品情報を明確に記載したりしましょう。会員登録をする必要があるなら、簡単に登録できるよう、以下のような対策をします。登録フォームの入力を最小限にするフリガナや住所を一部自動で入力できるようにする実際にシミュレーションをしてどのように設計するか決めることが大切です。ツールを導入する 施策内容が決まれば、必要なツールを導入します。 たとえば、診断コンテンツで商品をレコメンドしたい場合は、診断作成ツールを導入しましょう。 実店舗とECサイトの在庫情報を連携させたい場合は、在庫管理システムの導入を検討するとよいです。 ほかにもチャットボットやデジタルサイネージなど、課題にあわせてツールを用意し、運用しましょう。OMO戦略の企業事例 OMO戦略の企業事例を2つ紹介します。それぞれの施策内容や得られた効果を詳しく紹介しますので、ぜひご覧ください。よーじや 好みの使用感や肌悩みにあわせてカスタマイズできるフェイシャルケアブランドを開発・販売している「よーじや」では、診断コンテンツを使ったOMO施策を実施しました。よーじやの新ブランドでは、全8種のアイテムをラインナップしていましたが、商品数が増えたことで、選択の幅が広がり、顧客がどれを選べばいいかわからない状態になってしまいました。そこで、診断コンテンツを導入し、設問に答えていくことでお肌の状態やアドバイスをし、同時におすすめの商品の組み合わせを表示するようにします。おすすめした商品はそのままECサイトで購入できるようにし、購買促進を促しました。店舗のタブレットや商品サイトに診断コンテンツを設置したところ、ECサイト流入が3倍増加、店舗接客でも効率的なコミュニケーションが可能になり、その場でおすすめ商品を購入されるといった場面も増えました。参考:京都・よーじやが「ヨミトル」を導入し、リアル店舗&デジタルでの商品提案の質を向上株式会社フィッツコーポレーション コスメ・香水を販売している株式会社フィッツコーポレーションでは、公式LINEの友だち登録を促進するため、診断コンテンツを配信しました。広告から流入した人にランディングページを読んでもらい、香水への興味を高めたうえで、LINE登録でぴったりの香水がわかる診断を受けられることを紹介し、友だち登録の誘導につなげます。結果、友だち登録率が10%以上増え、効率的に友だち登録者数を増加させられました。また、診断で自身に合った香水がわかるようになることで、自社ブランドの愛着化にもつなげました。参考:株式会社フィッツコーポレーションの事例はこちらまとめ OMO戦略を実施することで顧客体験が向上し、顧客満足度の向上や売上獲得につながります。診断コンテンツやチャットボット、デジタルサイネージなどさまざまな施策があるため、自社の課題や目的、予算にあわせて最適な施策を実施してみましょう。OMO施策の内容によってはツールの導入が必要です。診断コンテンツを配信したいなら診断ツール、顧客対応の自動化ならチャットボットなど施策内容にあわせて導入を検討しましょう。弊社でもOMO施策で診断コンテンツの配信をしたい方向けに、診断作成ツール「ヨミトル」を提供しています。ヨミトルを活用することで、サービスサイトや広告などさまざまな媒体に診断コンテンツの配信が可能です。ノウハウがなくても作成から公開まで一括でできるので、はじめて診断コンテンツを配信する人でも安心して利用できます。資料請求・キャンペーンのご相談・お見積りなどを受け付けていますので、診断コンテンツで購入促進につなげたいと考えている方は、お気軽にご相談ください。>>お問い合わせはこちら